この関東地方の縄文遺跡でみられる黒曜石の主要な原産地を衛星画像に重ねてマークしたものです。 ・黒曜石(Obsidian)は火山の活動によりマグマが急令する等の特殊な条件によりつくられる火成岩のひとつです。いわば天然ガラスであり、硬く鋭い石器として縄文人たちに重宝されたようですが、原産地は限定されています。 調査の結果、数百キロをこえて移動しほぼ日本列島の全域に流通してていることがわかっています。交換によったのか?贈与によったのか?いかなる仕方でいかなるルートで移動したのか、大きな謎です。 ・移動の例は黄緑の矢印で示しました。移動の経路を示唆するものではありません。また時間的な要素を捨象しています。 ・神津島産の黒曜石の搬出拠点として段間遺跡が注目されます。たとえば千葉市の縄文遺跡の黒曜石は大半が神津島産であるとする見方がありますが、神津島産の黒曜石は、段間遺跡を経由したという可能性があるのではないでしょうか。(なお青沼道文・建石徹・古谷渉・森本剛2001は千葉市内縄文中期の3遺跡の黒曜石を分析しています。うち坊屋敷遺跡、蕨立遺跡の黒曜石はすべて神津島産だが、牛尾枡遺跡については高原山産の1点以外はすべて信州産という結果をえており、精密な検討の必要を指摘しています。) ・この衛星画像は、神津島近くの三宅島の噴火の様子をとらえており(下中央)、太古の黒曜石の形成を示唆する画像になっています。また画像を中国大陸から飛んできた黄砂が覆っています。とくに画像の左下からの黄砂の流れが顕著です。三宅島の噴煙にさらに黄砂が吹きこみ広がるというダイナミックな光景になっています。
上記の衛星画像は米国NASAより提供されているものです。観測衛星TERRAはNASAの打ち上げた衛星であり、NASAの組み立てたMODIS( Moderate Resolution Imaging Spectroradiometerr 中解像度イメージング分光放射計)という光学センサーを搭載しています。解像度250m(バンド1,2)、500m(バンド3-7)、1000m(バンド8-36)。観測幅約2000km。 ・以上の数値・内容等は正確さを保証するものではありません。あくまでこのページの内容はおおざっぱな「参考」です。正確・精密な情報は、専門の研究者のサイト・論文を確認してください。もちろん誤りがありましたら、ご指摘ください。 ・末筆ながら三宅島のみなさんの一日も早い安全な帰島を願うものであります。 (参考サイト・文献) 黒曜石の謎 @八ヶ岳旧石器通信 黒曜石研究室 小田静夫 「黒曜石研究の動向」 @黒潮圏の考古学 黒曜石サミット 国際研究集会 2004/09/02-06 藤田富士夫「第一回みちのはじまり」 @富山県民生涯学習カレッジ 千葉市の貝塚・・・←黒曜石の主要産地、長野の和田峠付近の遺跡、尖石遺跡・井戸尻遺跡などのレポートあり。 青沼道文・建石徹・古谷渉・森本剛2001「千葉市内縄文時代中期遺跡出土黒曜石の原産地推定」 『貝塚博物館紀要』2001年3月。 |
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