中国・ロシア南部・カザフスタン・モンゴルの国境地帯。いわゆる中国のシルクロード、西域の砂漠地帯の北にあたり、山岳地帯の麓には草原地帯が広がる。シベリアからくる湿った空気はアルタイ山脈にぶつかり雲となって、その北側の土地を潤す一方、その南側を乾燥させるのだそうだ。5月観測の写真だが、南北の世界を仕切るアルタイ山脈はまだ雪に覆われている。矢印をつけたカナス(ハナス)湖も凍結しているようだ。赤●印は、NASA/GSFCのMODIS Land Rapid Response Teamがつけたマークで、火災を示す。
●「草原の道」
この地域は、いわゆる「草原の道」であり、遊牧の民の世界といってよいだろう。中国領のアルタイ地区だけでも古墳群(チェムルチェク古墳群)や岩刻画(ドラルト、ツァオアール)などの古代遊牧民の遺跡が分布している。なおNHKスペシャルでとりあげられた魔鬼城は、上記写真外の左下の位置にあたる。残念ながら、写真には映っていない。
●「金の山」と「黄金の道」
アルタイとは、トルコ系遊牧民、突厥(チュルク)やモンゴルの言葉で金の山を意味するアルトンに由来するという。古代よりアルタイ山中には金鉱脈の存在が知られていた。騎馬民族、スキタイはアルタイ山中から産する原石をギリシアに運び、金製品等と交換していたという。「草原の道」は「黄金の道」でもあった。
(カナス(ハナス)湖)
カナス(ハナス)湖は、いわゆる西域、中国領の新疆ウイグル自治区の最北端に位置する。海抜1374m。長さ25km幅2.9kmの、さやえんどうのような細長い形をした淡水湖である。200万年前の第二氷河期の氷河により削られてできたフィヨルド湖。「カナス」とは、モンゴル語で、神秘的で美しい、という意味だそうだ。周辺は自然保護区とされている。最近、NHKスペシャルでとりあげられた。「大紅魚」という巨大イトウが棲むという伝説があるという。
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「カナス 〜森と伝説の湖」 @NHKスペシャル『新シルクロード』 2004年10月11日NHKテレビ放送。
ALTAY: The Joint Mongolian / American / Russian Project
『地球の歩き方 39西安とシルクロード』ダイヤモンド社
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